繰り上げ返済か、住宅ローン減税か!
住宅ローン相談で、良くあるのが、住宅ローン減税を受けている間の、繰上げ返済をするべきかどうかと言う事。
住宅ローン減税とは、平成23年度の購入であれば、最高額4,000万円までの借入に対して、10年間、借入残高の1%が所得税や、住民税から減税されると言う物です。
条件としては、
●合計所得3,000万円以下
●返済期間10年以上
●物件の条件(床面積50㎡以上、中古の場合には、築20年(マンションは築25年まで)など)
などがあります。
住宅ローンの繰上げ返済については、2つあり、毎月の返済金額を少なくする繰上げ返済と、毎月の返済額は変えずに、返済期間を短くする繰上げ返済があります。
繰り上げ返済は、借入当初の方が、繰上げ返済する事による金利負担の軽減効果が大きい為、余裕がある方は、早期に取り組む程有利になります。
住宅ローン減税は、年末の借入残高の1%が減税されるので、借入額が多く残っている程、減税額も増えます。
住宅ローンの繰上げ返済は、早期に繰上げする程、利息の軽減額が大きくなります。
それでは、繰上げ返済と住宅ローン減税、どちらを優先させるべきか・・・ 色々なケースで、検証して見ましょう。
(前提条件としては、住宅ローン減税は、満額対象になること、住宅ローンは、元利均等返済、繰上げ返済方法は、返済期間短縮型にしています、尚金利上昇は考慮していませんのでご注意下さい。)
●ケース1
借入金額:3,000万円 借入金利:2.35% 返済期間:35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥2,090,000 |
繰り上げ返済 | ¥7,180,000 |
トータルの軽減額 | ¥9,270,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥2,670,000 |
繰り上げ返済 | ¥5,380,000 |
トータルの軽減額 | ¥8,050,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しない方が有利ですが、繰上げ返済の効果が大きい為、トータルでは、(1)のように、毎年繰り上げ返済をしていた方が、お得なようです。
●ケース2
借入金額:3,000万円 借入金利:0.875% 返済期間:35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥2,030,000 |
繰り上げ返済 | ¥2,310,000 |
トータルの軽減額 | ¥4,340,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥2,580,000 |
繰り上げ返済 | ¥1,760,000 |
トータルの軽減額 | ¥4,340,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しない方が有利ですが、繰上げ返済の効果は、毎年返済した方が有利になり、トータルでは、どちらのケースでも同じ結果となりました。
今度は、借入額が、4,000万円の場合です。
●ケース3
借入金額:4,000万円 借入金利:2.35% 返済期間:35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥2,970,000 |
繰り上げ返済 | ¥7,840,000 |
トータルの軽減額 | ¥10,810,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥3,560,000 |
繰り上げ返済 | ¥5,890,000 |
トータルの軽減額 | ¥9,450,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しない方が有利ですが、繰上げ返済の効果が大きい為、トータルでは、(1)のように、毎年繰り上げ返済をしていた方が、お得なようです。
●ケース4
借入金額:4,000万円 借入金利:0.875% 返済期間:35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥2,900,000 |
繰り上げ返済 | ¥2,450,000 |
トータルの軽減額 | ¥5,350,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥3,450,000 |
繰り上げ返済 | ¥1,900,000 |
トータルの軽減額 | ¥5,350,000 |
この条件でも、住宅ローン減税は、繰上げ返済しない方が有利ですが、繰上げ返済の効果は、毎年返済した方が有利になり、トータルでは、どちらのケースでも同じ結果となりました。
今度は、借りれ額が、2,000万円の場合です。
●ケース5
借入金:2,000万円 借入金利:2.35% 返済期間:35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥1,080,000 |
繰り上げ返済 | ¥6,170,000 |
トータルの軽減額 | ¥7,250,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥1,780,000 |
繰り上げ返済 | ¥4,550,000 |
トータルの軽減額 | ¥6,330,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しない方が有利ですが、繰上げ返済の効果が大きい為、トータルでは、(1)のように、毎年繰り上げ返済をしていた方が、お得なようです。
●ケース6
借入金額:2,000万円 借入金利:0.875% 返済期間:35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥1,060,000 |
繰り上げ返済 | ¥2,030,000 |
トータルの軽減額 | ¥3,090,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
---|---|
住宅ローン減税 | ¥1,720,000 |
繰り上げ返済 | ¥1,510,000 |
トータルの軽減額 | ¥3,230,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しない方が有利ですが、繰上げ返済の効果は、毎年返済した方が有利になりますが、トータルでは、(2)の10年間繰り上げ返済をしないで、住宅ローン減税を受ける方が有利になりました。
ポイントとしては、以下のような点に注意が必要です。
● 借入額が多く、金利が高い程、早期に繰り上げ返済をした方が有利になる。
● 借入額が少ないと、減税対象である、当初返済期間の10年を下回る事で、繰上げ返済をすると減税が打ち切られる為、繰上げ返済をしないで、減税で受ける方が有利になる事もある。
●トータルの効果がそれほど変わらない場合には、10年間手元資金を運用で増やすこ事で、住宅ローン減税中は、繰上げ返済をしないで、11年目にまとめて繰り上げ返済する方が有利な場合もある。
大切な事は、借入条件や、繰上げ返済の金額、住宅ローン減税が受けられる金額などが違うと、有利な選択が変わるという点です。
やはり、シュミレーションをして有利な選択肢を考える事が重要です。